音楽で生きる

京都MOJONo Regret Lifeのツアーがあったので行ってきた。対バンにStereo fabrication of youthが出ると聞いて参戦を決めた。Stereo fabrication of youth。2000年の春ごろに当時読みまくっていたロキノン系のネット掲示板で「期待のニューカマー」的に紹介されていて、たまたま公式HPで聞いた「戦場の遠距離恋愛」という曲にズコンと心を打ちぬかれたのが馴れ初めだ。動く姿をはじめてみたのは2000年の金沢工業大学学園祭の模様を深夜のテレビで見ていたとき。白衣を着た神経質そうなギターの動きと、何か世間をなめきったような表情で笑いながら聴衆を挑発するメガネのギターボーカルが印象的だった。そんなパンクな演奏なのに、繰り出すメロディーは繊細でポップ。そのちぐはぐさが時代にマッチしてて「このバンドはメジャーにいくんじゃないか」と流行りもの好きだった僕はのめりこんでしまい、宅録デビューアルバムを繰り返し大音量で流していたっけ。長くなったけど、Stereo fabrication of youthとはそんなバンドで、僕はそういう風にして彼等に出会った。そんな彼等が京都に来るという。彼等のライブに最後に行ったのは2003年の11月、彼等がインディーズでの自主的活動に拘って遅れに遅れていたメジャーデビュー直後の下北沢ガレージでのワンマンだ。だからもう5年ぶりになるんだ。彼等はもっと早くメジャーデビューしていれば、きっといまのアジカンレミオロメンの位置に居たバンドだと今でも思う。事実ポストミスチルと業界でも呼び声が高かったと聞く。それが2003年までずれ込んだことで、いまいち業界の波に乗れなかった感がある。メジャーデビューしたアルバムこそそれなりの売上げがあったものの、その後出す音源はそのクオリティーの高さに相応なく期待通りに売れず、契約もアルバム3枚で終わった。メンバーもひとり、またひとり他の職業についていき、いまはギターボーカルのソロユニットになり、自主制作でここ数年は活動している。ライブが始まった。ここまでのギターロックバンドと明らかに毛色の違う、ギターレスのトリオ演奏。リズム隊+鍵盤のボーカル。伸びる歌声。鍵盤のリズムに乗るポップなメロディー。それはあの頃と何も変わっていなかった、いや何か研ぎ澄まされた・・・


実は書いては消し書いては消ししたのだが、どうも本当に伝えたいことを書ききることができないので、これ以上多くを語ることはよそうと思う。ステファブ。見に行ってよかった。デビュー当時から知るものの一人にとっては切なくなる状況とメロディー。その音階に身を寄せていると時間がたつにつれ涙が自然とあふれ出たんだ。音楽で生きることの素晴らしさと難しさ。江口くん、キミの音楽はこんなに人を感動させてるんだ。僕はただの聴衆、消費するだけの立場でしかないけど、身勝手に言うよ。これからもずっと音楽を続けていってください。楽しみにしています。