MY REVIEW(1)

今作の包括的印象は先に述べましたが、非常にぱっと見はとっつきにくい印象なのに、ポップではないがポピュラリティを持ったかっこよさをアルバム全体で持っている、そんな印象を持っています。前作が非常にわかりやすい印象なのは、おそらくアレンジメントがくっきりとした音像になっている(おそらく意識的に)からだと思います。特に「ACUPUNCTURE MAN」なんてほんっっっとわかりやすいし、それに引き付けられた初見の人も多いと思います。今作はそれがいい意味で削げてて、より核心に迫ったシンプルなアレンジにとどめつつ、それでも圧倒されてしまうのは、おそらく目に見えない、一見聞こえないレベルまで緻密に音を紡ぎ上げて、1曲1曲にクソバカ丁寧に命をこめて詰め込んでいるからだろうと。シンプルなのに圧倒的。1.COWBOY KILLERS 1曲を貫く重くシンプルなギターリフ1本ですべてが決まってしまった。そこにはサビのドラマティック感もクリアなアレンジもなく、ただひたすら重戦車の如く重いリフと積み重なる音の渦がっぐいっぐいっと迫ってくる鬼気迫る楽曲。ライブで聴いたほうがしっくりくる感じはありますが、音源は音源でヤバイっす。2.Junk-Yard Super Trip 一転してヴォーカルの声で殺す楽曲。歌い上げる声がエロティックで美しいのに、ロックンロール。ほんとふつーーにかっこいい。その感想しかでない。3.BLACK SUN MISERY 今作の肝。マイウェイ的には実験的で新機軸な音のつくりをしているし、メロディーもサビもなく暗い印象が1曲を通じて幅を利かせる暗黒のような音像なのに、音響的なアプローチを多めに取り入れ、ヴォーカルの多彩な表現力がスパイスとなり、今まで聴いたことのない楽曲に仕上げることに成功している。中盤から後半への怒涛の流れは、きっとライブで体験すると失神する人が出るのでは、と思うほどの迫力。必聴。4.FAMILY -theirs the remains- 一転、ポップなメロディーを持つ、前々作でいう「THE RAINBOW SONG」の位置づけの曲。いい意味でフレイミング・リップスの楽曲のような、突き抜けた明るさが全体を支配しています。3曲目と4曲目のこの変わりようが完全に狂ってますね(w。最後にはハーブの音を入れるなど、どこか祝祭的で一種宗教的賛美歌のような感覚さえ感じました。(後半につづく)