「悲しみは地下鉄で」

「悲しみは地下鉄で」(モーモールルギャバン/2010「クロなら結構です」収録)


僕の記憶が確かならば、この曲は、様々な理由で生きることに億劫になった時期の自分自身の経験を元に作った、Vo.ゲイリーの心情をベースに作った曲だそうだ。


歌詞のフォーマットはシンプル。昨晩彼女から別れを告げられた男が、自分の生きている価値を問い、悩み・・・それでも昨夜と同じ「雨」の降る日常は変わらず進んでいく・・・そんなフォーマット。


「死にたくなる自分」を切々と綴るだけのシンプルな詩なのに、どうしてこう心を抉るものがあるのだろう


生と死は隣り合わせ。生と死は天地の差異。一見そう錯覚しがちだが、実は生も死もただの肉体の状況に過ぎず、それ自身には何の意味もない。


大切なのは肉体の生死じゃない。精神の生死だ。愛をなくせば、精神は死んでしまうのだ。


愛は、永遠に、心のなかに宿り、受け継がれていく。


愛の存在をあらためて知り、肉体の死を望んでいた僕が、その愚かさに気づく。


「ああ、まだ外はひどいひどい雨だね」
昨日と変わらない日常。でも、「僕は死ねばいい」という言葉は後半、消えた。





この世界が、愛で溢れる世界でありますように。